2025/06/15 08:44


オフィシャルから発売するインタビュー集としては、5年ぶりとなる
新刊「ZARD/坂井泉水 〜君に逢いたくなったら…〜」(
202564日)から、一部をご紹介。

(こちらはパート3です。パート1、2 もぜひご覧ください)


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★服部国博(Kunihiro Hattori

東京都出身。1989年に舞台制作会社に入社。以降現在まで舞台監督、舞台制作業務を務める。

ZARD、大黒摩季、DEENFIELD OF VIEW、倉木麻衣、WANDSのライブ現場に携わる。

 

<インタビューより一部抜粋>

2004年のツアーは)セットリストの中で、MCの場所は決まっていましたか?

 一応決まっていたんですけど、予定していないところでしゃべり始めたり、また突然上着を脱がれたり予期せぬ行動に出られることもあって、わりと自由でしたね(笑)。そういう意味では、坂井さんってすごく自然体な方でした。もちろんいいライブを見せようというお気持ちは伝わってくるんですけど、ガツガツしていないっていうか。2004年は長いツアーだったのでちょこちょこお話する機会もあったんですけど、あんなにきれいで、しかもビックアーティストにもかかわらず、全然飾らないすてきな方でした。また坂井さんの近くでお仕事させていただいたときに、「世の中で売れる人ってオーラがあるんだな」と実感しました。

 

★林田尚也(Naoya Hayashida

1996年、舞台監督会社に入社。これまで、倉木麻衣「爽健美茶 Natural Breeze 2001 happy live」(2001年)より全ツアーを担当や、「ROCK IN JAPAN FES.」などの大規模なフェスも含め、数々の国内アーティストの舞台監督を務める。
ZARDでは、1999年開催「ZARD Cruising & Live」よりすべてのライブを担当している。

 

<インタビューより一部抜粋>

2007年の追悼ライブは)通常とは異なるライブになりましたが、特に気をつけていたことやこだわったことはありますか?

これはすべての公演に共通してこだわっていることでもあるのですが、僕はライブ本番が終わった後の雰囲気を大事にしたいと思っています。本番が終わって客出しが始まった途端に、舞台上ではガッツリ片づけを始めちゃうチームも意外といるんですよ。もちろんスタジアム(野外)で雨が降っているから楽器を保護するためにすぐ片づけるとかは僕もあるんですけど、通常はお客さんにとって大好きなアーティストがついさっきまでいたステージをなるべくそのままにしておきたいなと思っていて、あまりガチャガチャしたバラシ(片づけ)をしたくないんです。とりわけ2007年からのZARDの追悼ライブでは「基本的にはお客さんが出るまではステージは触らないようにしようね」と僕は常々スタッフたちに言っていて、映像カメラチームもそれに賛同してくれています。特に2007年のときは多くのお客さんがずいぶん遅くまで残られていて、閉館時間も決まっていますし片づけの時間が短くなってスタッフは大変な部分もあったんですけど、やっぱりこれは待つべきだよねって。それにスタッフ側も全員、「すぐに片づけたい」という気持ちにはならなかったと思いますね。

 

★野口麻由(Mayu Noguchi

2001年にビーイングのグループカンパニーである株式会社レッドウェイ(スタジオエンジニアが所属)に入社。デスク業務やさまざまなアーティストのライブ制作に従事する傍ら、2003年ごろから坂井泉水の来阪時や2004年のライブツアーでさまざまなケアを担当。

 

<インタビューより一部抜粋>

野口さんからしてみたら、ZARDは入社前から知っているビックアーティストですし、最初は緊張も相当あったと思います。「心が打ち解けてきた」と感じた瞬間はいつごろで、具体的にそのときのことを覚えていますか?

 2004年のツアー初日(32日)の大阪フェスティバルホールが無事終わって、次が東京国際フォーラムの2days38日、9日)だったのですが、このときですね、最初に感じたのは。1日目か2日目かは忘れてしまったのですが、本番直前に舞台袖で坂井さんが精神統一をしていざステージへという瞬間に、緊張しているんだろうなと感じたので、坂井さんの背中に私が手を添えたことがあって。そのときにご本人がクルッと振り返って私にグ~ってポーズをしてから出ていかれたんです。その瞬間、なんとなく今ちょっと呼吸が合ったかなというのを感じました。アーティストとスタッフの距離感ってすごく大事で、踏み入るところと踏み入らないところをちゃんとしなければいけないのですが、そこはお互い保ちつつ、ちょっと寄り添える場所に自分がなれてきたかなというふうには感じましたね。

 

★沢下友香(Yuka Sawashita

2004年にビーインググループに入社。ファンクラブを運営する部署に所属し、ZARDオフィシャルファンクラブ「WEZARD」の運営、会報誌の編集などに携わる。

 

<インタビューより一部抜粋>

会話してみて、感じたことはありましたか?

 私の場合実際お会いする前に会報誌のインタビューを通しての文章でのやり取りがスタートだったので、そこから受けたイメージが第一印象ということになると思うのですが、「作るものにものすごくこだわる方」という印象が強かったです。というのも、会報のレイアウトについて坂井さん自らデザイナーに細かくディレクションされたことをファックスで報告してくださったことがあったり、インタビュー回答では何度も書き直した跡が見てとれたり、「とても几帳面」で「言葉を選んで文章を書かれる方」という印象を持っていました。実際お会いしてみてもその印象は変わらず、ファンの方々にも真摯に向き合われていて、会報誌も会員の方々がより楽しめるようにと意識されていたのではないかなと感じます。

 

 本書には、沢下さんのインタビューの中にあった「坂井さん自らデザイナーに細かくディレクションされたことをファックスで報告してくださった」のファックス実物を掲載したり、他にもインタビューに沿った写真や資料を豊富に掲載しています。

 また、今回インタビューの一部をご紹介した14名の方のほかに、ZARDを世に送り出し、トップアーティストに育て上げたプロデューサー・長戸大幸の30,000字を超えるロングインタビューを掲載。どのようにしてZARDの音楽はどのようにして作られていったのか……長戸氏のプロデュース哲学も多々垣間見える大変深い内容になっています。ぜひZARDの素晴らしい楽曲とともに、じっくりお読みいただきたい一冊です。